オピニオンコラムcolumn
地中海沿岸地域の健康・長寿を支えているのは、世界無形文化遺産にも登録された地中海食であると見て間違いありません。穀類、豆類、野菜、果物、新鮮な魚介。そしてエクストラバージンオリーブオイル。
エクストラバージンオリーブオイルは、2000年以上も生きるオリーブ樹に成る実を、その皮や種も残さずに丸ごと搾った「オリーブの実のジュース」。その恵みを頂くことで人間も生命力を与えられるのです。エクストラバージンオイルの脂肪酸構成は、約75%は一価不飽和鎖脂肪酸であるオレイン酸で占められ、その他、飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸もバランスよく含んでおり、人間の母乳に近い脂肪酸構成なので人に優しいオイルと言えます。一方、オリーブの実には強い太陽光線から身を守るために、多種多様の抗酸化物質が多く含まれており、それを搾ったエクストラバージンオイルには各種のポリフェノール、ビタミンE、β-カロテン、クロロフィル、などの多様な抗酸化成分が豊富に溶け込んでいます。
人は血管と共に老います。エクストラバージンオイルを効率よく、また、オイルを損なうことなく摂ることによって、老化の主因とされる活性酸素から、血管を内腔から、また血管壁から2重に守ることになります。
また、エクストラバージンオイルは化学的操作を一切しないで搾った自然食品であり、実をそのまま使った全体食品であるといった特徴があります。したがって、エクストラバージンオイルは自然食品、全体食品である玄米、納豆、トマトなどの緑黄色野菜との相性は、食味の上でも、また栄養学的な面からも抜群。オリーブオイルは鰯を守り、美味しく食べるために古来から使われてきました。鰯を3枚におろしマリネする、鰯を缶に入れて保存する、等々。いかにオリーブオイル自体が酸化されにくく、さらに、酸化されやすい鰯の脂肪酸EPA、DHAを酸化から守るように働くかの証となります。
ぜひ日本の食卓においしく、上手に、効果的に取り入れ健康長寿を目指して頂きたい。
-
横山 淳一 先生オリーヴァ内科クリニック 院長
医学博士。1973年千葉大学医学部卒。東京慈恵医科大学内科学教授を経て、現職。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医・指導医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医。著書に「炭水化物を食べながらやせられる!地中海式世界最強の健康ダイエット」など多数。