オピニオンコラムcolumn
お口のニオイにも、効果を発揮するオリーブオイル
歓送迎会など会食の機会が増える春。飲み会翌日の酒臭さ、美味しいイタリアンや焼き肉を食べた後のニンニク臭など、お口のニオイを気にする人も多いのではないでしょうか。自分ではなかなか気づかない口臭だからこそ、しっかりケアしておきたいものです。
口臭予防のために、私が実践しているのは「オリーブオイルうがい」です。歯磨きをして一度口をゆすいだ後に、オリーブオイルをそのまま口に含んで、クチュクチュっとするだけ。口内に停留させた後は、吐き出してもいいですが、オリーブオイルには抗酸化や便通改善などいろいろな効果があるので、飲みこんでしまっても良いでしょう。これだけでかなりしっかりした口臭予防になります。
オリーブオイルが細菌の繁殖を抑制!口内炎や歯周病の対策としてもオススメ
オリーブオイルが口臭を防ぐ理由は、主に口内細菌の繁殖を抑制するためと考えられています。例えば菌の培養を見るための寒天にオリーブオイルを塗っておくと、菌の増殖は抑えられます。菌の住処がオイルでコーティングされた状態といえるでしょう。「オリーブオイルうがい」の静菌作用は、傷ができたところに菌が増殖してできる口内炎の改善にも役立つ可能性があり、歯周病対策としても期待できます。
歯周病菌は、動脈硬化など血管系の病気を引き起こす!?
出典:Ishihara K et al.(2004)J.Clin.Microbiol.より改変
歯周病を防ぐということは、ひいては突然死の予防にもつながります。実は、歯周病は口内だけでなく、全身の病を引き起こす病気であることをご存知でしょうか。菌は歯周ポケットから血管に入り込み、全身に毒素をめぐらしてしまうのです。それにより、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中といった病気を引き起こす可能性が高いと考えられています。実際に、動脈硬化を起こした患者の心臓の血管壁から、歯周病が見つかった人が約30%もいることが調査で明らかになっています。また、高齢者に多い誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)も、歯周病菌などお口の中の細菌が肺炎を起こしやすくすると考えられているので注意が必要です。
朝に晩に、歯磨き後には「オリーブオイルうがい」。口内の静菌はもちろん、全身の病気のリスクを下げる上に、オリーブオイルが持ついくつもの健康効果も期待できます。オリーブオイルを用いた新たな生活習慣で、健康寿命を延ばしましょう。
オリーブオイルうがいの方法
- 歯磨きをする。
- オリーブオイルを口に含む。少量の水を一緒に口に含んでも良い。
- オリーブオイルをクチュクチュと動かして、口内にまんべんなく行き渡るようにする。
- ③を吐き出しても良いし、飲みこんでしまっても良い。吐き出す場合にはティッシュなどに包んでゴミ箱へ捨てると、排水口を汚さずに済みます。
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池谷 敏郎 先生医療法人社団 池谷医院 院長/
東京医科大学客員講師総合内科専門医、循環器専門医。1988年、東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。 1997年、池谷医院理事長兼院長に就任。心臓、血管、血液のエキスパート。著書に、「血管がぐんぐん若返る!! 豆乳オリーブオイル」など多数。